観光庁による解説文

国立広島原爆死没者追悼平和祈念館

目次

厳然とした威圧感のある広島原爆死没者追悼祈念館は、2002年に完成され、爆撃が与えた測り知れない痛みと損失が思考の中心に据えられれるような体験が得られます。記念館は原爆投下の惨事の度合いを来館者に伝え、その一方で、死没者の家族が祖先や愛する人たちの苦しみを思い起こす空間でもあります。

有名な日本人建築家、丹下健三氏氏(1913~2005年)が設計した建物は、地上から見ると円形の壁だけでできているように見えます。正面は開口部が一つくり抜かれているだけで、そこからは中央の噴水の立体芸術の上部が見えるでしょう。

建物内の、地下の記念館には1945年8月へと時間をさかのぼるかのようなスロープを通って入ります。壁には、爆心地から見えたであろう、爆撃で破壊された街の映像が360度にわたって映し出されています。映像は140,000個のタイルで成り立ち、1945年末までに亡くなったと推定される広島の原爆犠牲者それぞれを追悼したものです。映像の下には、爆撃当時の市を構成していた226の地域の名がそれぞれ、爆心地からの距離に応じた位置に据えられています。

12本の木製の柱が屋根を支え、屋根の中央には地上の開口部から見えた噴水の立体芸術のガラス製の上部が入れ込まれています。下の部分は真下の、記念館の中央に立っています。上部と下部のどちらも、爆弾が落とされた午前8:15を指した時計の文字盤のような形をしています。ここに流れている水は原爆投下の影響により水を懇願した死者の魂への捧げものであり、触れてはいけません。

2つの階に広がる記念館の周辺部には特別展示コーナーがあり、原爆を体験し、愛する人を亡くした人々、あるいはそのどちらか一方を体験した人々からのビデオによる証言(英語字幕付き)を展示し、文書による説明(日本語のみ)を保管しているライブラリー、犠牲者の情報展示コーナーもあります。情報展示コーナーの設備はコンピューターを用いており、12の大きな動画スクリーンには、何千人もの原爆犠牲者の名前や映像を表示し、個々の犠牲者を名前で検索できるようにもなっています。


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